これまでのおはなし

福岡県朝倉市『株式会社 廣八堂』の“葛”

今日は、福岡県朝倉市『株式会社 廣八堂』の“葛”をご紹介します。

川上「朝倉の葛は有名ですよね!!」
中野「そうです。昔から生産されている所です」

【『廣八堂』とは?】

『株式会社 廣八堂』は福岡県朝倉市日向石あります。代表は六代目・田口喜幸さんです。今回お話は代表の奥さんで営業企画を担当する田口由希子さんにお聞きしました。『株式会社 廣八堂』は明治8年に創業、初代・田口清助氏により“廣八本葛”という商品名で製造販売を始められました。

明治から大正にかけて、地元朝倉に自生する“葛”を収穫し加工していました。“葛”の収穫は朝倉の農家の方々の副業として行われていました。“葛”の収穫は12月~3月、野山で天然の“葛”を採取することは寒さと重なり重労働でした。その結果、農家を廃業し転職する方が増えた事とも重なり、年々採取をする「堀り子」と呼ばれる農家の皆さんが減りはじめ、昭和に入っては地元以外でも“葛”の収穫を始めざるを得なくなったそうです。昭和元年に熊本工場を開設し、原料集荷から生産までの一貫体制が整備され、昭和28年に鹿児島に工場を建設。現在、熊本工場は閉鎖し、鹿児島工場で一貫体制による“本葛粉”が生産されています。

川上「葛というのは“根っこ”を加工するんでしたっけ?」
中野「はい!葛の花は漢方などに使用されますが、“葛粉”は根っこです」

“葛”の根茎は長い物は数メートルにも及び、ベテランの掘り子さんのお話では、険しい山道を何度往復し、山から持ち帰ったということです。収穫量の多い堀り子さんは一日に120kg~160kgも掘り出されるそうです。また、資源保護のために小指くらいの葛の根茎を残しておく事が掘り子さん達の約束事になっています。“葛”は、葛の根茎からデンプンを取り出す作業を行い“葛粉”として仕上げられますが、「寒晒し」と呼ばれる、水でさらし不純物を取り除く作業を何度も繰り返し精製されていきます。その後乾燥して“本葛粉”として仕上げられます。由希子さんによれば、「当社では、堀り子さん数百人と提携し、国産天然の葛を使用しています。野山での作業なので熟練した技術が必要です。現在、葛の栽培にも挑戦していますが、土壌の性質などが異なるため試行錯誤を重ねています」とのことです。

【葛を使った商品とは?】

中野「スタジオに“葛湯”をお届けしたのですが…」
陽区「人生で初めて飲む!トロッとしていますよね」
後藤「これは…桜?」
中野「季節の商品として“桜くずゆ”というのも作られています」
後藤「おいしい!」
川上「ほんのりとした甘味があって!」
中野「体調が悪い時に、生姜や砂糖を少し入れて祖母が飲ませてくれた記憶があります」

『株式会社 廣八堂』では“葛”を使った商品の原料として“本葛粉”を販売する、いわゆる原料提供が中心の商いでしたが、近年“ゴマ豆腐”などの商品の製造も行われています。

川上「“胡麻どうふ”プルンプルンですね!」
後藤「弾力が!プリン・プルン・プリン・プルン!!」
中野「葛で作ると食感が違います!」
陽区「ゴマの香りもたまらん!」

『株式会社 廣八堂』は“本葛粉”のほかにも“蕨粉”の製造販売もされており、“蕨餅”などの商品も製造されています。由希子さんのお話では「これまでは、葛商品の原材料の製造販売が中心でしたが、今後はそれらを使った加工品にも積極的にチャレンジしていくことを考えています。」

●連絡先●『株式会社 廣八堂』福岡県朝倉市日向石1202
TEL:0946-25-0311(※廣八堂のHPから注文できます)

中野「『あきづき市場』でも販売されていますので、是非!」
川上「来週は?」
中野「長崎県長崎市“鯨”の『井上商店』をご紹介します!!」