これまでのおはなし

長崎県対馬市 『ろくべえ』と『せんだんご』

今日は “長崎県対馬市 『ろくべえ』と『せんだんご』”を紹介します!

中野「『ろくべえ』を煮込んで持って来ました!」
玲子「これが『ろくべえ』? コンニャクのスパゲティ版みたい。」
中野「コンニャクじゃなくて、原料は“さつまいも”です。」
玲子「美味しい!モチモチして!ひきの強い麺みたい!」

【『せんだんご』と『ろくべえ』とは?】

長崎県対馬市に古くから伝わる保存食『せんだんご』、これを材料にした郷土料理が『ろくべえ』。私も何度も対馬にお邪魔していますが、大好きな料理の一つで、機会があればいつも頂いています。先週も、対馬のふるさと伝承館の飲食ブースで食べました!

【『せんだんご』の誕生秘話】

原料は「さつまいも」。
対馬市観光物産協会の扇徹弥さんに伺ったところ、300年以上前、対馬は狭い土地を利用した焼き畑農業が主で米や麦を栽培していました。しかし、収穫量は少なく島民の皆さんは食糧確保に大変苦労され、飢餓に苦しむ事もしばしばだったとのことです。
その食糧難を救うために原田三郎右ヱ門と言う郷士が、命がけで薩摩の地から「さつまいも」を持ち帰り、対馬でも「さつまいも」の栽培が広がったそうです。
しかし昔は冷蔵庫がありませんから、「さつまいも」を保存するために編み出されたのが『せんだんご』なのです。
『せんだんご』の名前は、加工されるまでに多くの手間がかかる「千ほどもかかる」所から来ているそうです。

【『せんだんご』の作り方】

1.さつま芋を「からうす」で小さく砕く。
2.桶に砕いた芋をさらし、アクをとる。
3.濾過水をふるいにかけて再度濾過する。
4.ざるに上げ、ひざらしにして約2ヶ月間!発酵させる。
5.濾過水より、沈殿した「白せん」をとり、自然に乾燥させる。
6.よくこね混ぜハンバーグ状にまるめて、天日干しで乾燥させる。(約1ヶ月間)
7.乾燥させた物を水に漬込みもどす。
8.水をかけながらこね、漉し、濾過したものをさらに漉す。
9.沈殿させておいたものを布にとり、水気を切る。
10.よくこね、団子(鼻高団子)をつくり、「もろぶた」に並べて、天日乾燥させる。

中野「出来上がるのに、約4ヶ月!」
玲子「乾物になってるよ!」
斎藤「白くって、カチカチですね。石みたい。沢山の工程を経て固めたものから、この美味しい料理が出来るのですか!?」

【『ろくべえ』の作り方】

『せんだんご』を水で戻した後、練り上げて作るのですが、麺の形に特徴があり、日本でも珍しい「押し出し麺」で、短く太く縮れた様な形です。
『ろくべえ』は島原地方にも郷土料理としてありますが、島原の「六兵衛」(島原は漢字名で呼ばれるそうです。)は「さつまいも」を乾燥させ粉にしたものに「山芋などの繋ぎ」をいれ麺にしたものですが、対馬は発酵させて作った『せんだんご』を材料にしたものです。

【対馬では】

対馬では、鶏からとったダシで、具材は、対馬名産の椎茸・鶏肉などが入ったものが多いのですが、「椎茸」や「魚」のダシが使われる事もあるそうです。

中野「今では、小売り店や飲食店にあります。シメにろくべえ食べるか!って対馬では出来るんです。」
斎藤「シメに、ろくべえイイですね〜。うどん的でもあるし。」
中野「今、冷凍も出来ていまして、ご家庭でも食べられるようになりました。」
玲子「今日は、中野さんが作ってきてくださったのですよね?」
中野「朝作って、時間が経ったので、ダシを吸い込んで少し膨れていますけど、出来立てはもっとシコシコしておいしいです。」

作り方を姑から嫁、母から子へと、今も対馬の農村部を中心に伝承され受け継がれている味。

玲子「昔の人が、命がけで研究してね、残そう残そうと・・・」
中野「これだけの工程、よく編み出したなって思います」
玲子「歴史を踏まえて食べると より美味しいですね」
斎藤「歴史を頂きましょう!」

『ろくべえ』についての詳しい情報は、対馬市観光物産協会 へ
〒817‐0022 長崎県対馬市厳原町国分1441
TEL0920-52-1566    FAX0920-52-1585

玲子「さて、次回のお話は?」
中野「日本の将来を担っている“福岡県立水産高校の生徒さんが作った缶詰などの加工品”授業を見学させて頂くので是非紹介したいなと。」
玲子「若い感性で、どんなものを作っているのでしょうか?!お楽しみに!」